オークションといえば、大半はリサイクルきもの。
「知ってる人から譲り受けるのはいいけど、リサイクルは前の持ち主がどんな人かわからないから、ちょっと怖い」という友人がいます。彼女いわく
「きものには女の情念がこもっている、というでしょ。自分のパワーより前の持ち主の情念のほうが強ければ、なんだか乗り移られそうで・・・」
う〜ん、乗り移り。夏の夜のスリラー(笑)って、私もチラッとは怖いかも
とはいえ、前の持ち主さんはどんな人なのだろうと想像したりはしません。
だって、ね。どんな人だったにしても、きものを誂えるときは、きっと
「このきものを着て好きな人や家族と幸福な時間を過ごしたい」と願い、
「そのきもので楽しい時間を過ごしている幸福な自分」を胸に描いていただろう
と思うから。
きものに込められたものを情念と呼ぶなら、それは決してドロドロした怨念系ではなく、明日を信じ、かなえたい夢や願いを込めた幸福系。そう私は信じています。
持ち主の元から離れ、オークションやアンティークとして市場に出てきた、
きものや帯たち。それはRe-SETされた状態で、
新しく想いを込めてくれる人のために、そこに存在しているはず。
だから落札したきものが届いたら、ハンガーに掛けながら心の中で挨拶します。
ようこそ、私の元へ。タンスが窮屈で悪いけど、よろしくね。
いいとこ行こうね。たくさん楽しい時間を過ごそうね。
これでもう大丈夫!Myきものになりました。たくさん着てあげなきゃ、ね。
それでもやっぱり怖い?女の情念・・・きものをめぐる11の短編集
どっぷり浸り、一気に読みました。文句なくおもしろいですよ〜