本場大島紬は、先に糸を染めてから織る「先染め」です。
染料には、天然のものと化学染料があります。

0d02.gif 天然染料で染める

泥染めのほか、さまざまな染め方があります。

■ 泥染め
テーチ木(車輪梅の木)で染色した後、泥田につけ込み全体に泥がなじむように染めていきます。
テーチ木染め約20回に泥染め1回を1工程とし、それを4回(合計80回前後)繰り返します。
この工程を経るうち、泥の中の鉄分とテーチ木のタンニン酸が化合して黒へと変化し、しっとりした深みのある光沢が出てきます。
また、泥染めの工程を経るうち絹糸はしなやかさを増し、織りの着物の中では格別の柔らかい着心地が楽しめます。

p02.gif 上記の方法で染められたものには「古代染色・純泥染」の証紙
注意:一見泥染めに見えても、化学染料で染めたものもあります。

<泥染めの特長>
本場大島紬を特長づける「泥染め」。
本場奄美大島紬の場合、1反の仕上がり450g、うち50gが染料(泥、車輪梅)です。この割合が、鉄分の量がもっとも適量になり、鉄分は絹糸を包み込んで守る役割をするため、汚れにくく虫もつきにくくなります。
ふつうの反物が1反600gほどというのに比べ、泥染めの本場大島紬は軽くてしなやか、鉄分の効果で丈夫に長持ち、孫の代まで「3代に渡って楽しめる」着物になります。

■ 泥藍染め
植物藍で染めた後、泥染め。地色は泥染め特有の渋い黒地、模様の部分は藍色になります。
p02.gif 上記の方法で染められたものには「古代染色・純泥染」の証紙

■ 色泥染め
地糸は泥染め、模様部分には泥染めと化学染料染めで染め分けられた絣糸を用います。
p02.gif 化学染料が規定内の場合は、泥染めとして「古代染色・純泥染」の証紙

■ 白泥染め
白泥染めは絣糸も地糸も泥染め、絣模様の部分のみが化学染料染めです。
白泥は薩摩焼の白薩摩という磁器で使用される粒子の細かな土で揉みこむことで、大島紬の特徴である風合いを出しています。
白泥大島は、生産している各機屋さんの自社基準で染められていて、各機屋オリジナルの白泥染め証紙が貼られています。

■ 草木染め
テーチ木や藍以外の草や木などの天然染料で染めます。
元々は奄美に自生するマングローブや櫨(はぜ)、小鮒草(コブナグサ)、梔(クチナシ)、福木(フクギ)、鬱金(ウコン)、ヒルギ、ホルトの木、サトイモガラなどで染められてきました。
その他、椎(シイ)、樟(クス)、タブの木、やまもも、矢車(やぐるま)、梅なども使用されています。
p02.gif 「古代染色・純植物染め」の証紙+植物名を記載

■ 正藍染め
植物藍だけで染めたものをいいます。

p02.gif 正藍染めの本場大島紬は、「古代染色純植物染め」の証紙
*藍染を一部の糸にしか使用していないものには、この証紙は添付されません。

0d08.gif 染め証紙は、染めの検査に合格したものにだけ貼られています。
 

0d02.gif 化学染料で染める

化学染料(合成染料)は微妙な色出しを自由にし、色落ちしにくいというメリットがあります。

■ 白大島
地糸は白のままで、化学染料で染めた絣糸を用いて模様を織り出します。

■ 色大島
多色づかいのもの、濃い色、中間色、淡い色づかいのものなど、さまざまな色彩が楽しめます。
 

0d02.gif 染め大島(後染め)
天然染料もしくは化学染料を用いて、大島紬の反物を友禅染めなどの手法で後染めしたものです。
大島紬の訪問着や付下げは、大半が染め大島です。*
(*経緯絣で絵羽に模様を織り上げた訪問着や付下げも存在しますが、大変難易度が高く数も少ないため稀少です)

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